千羽鶴

一つ一つ、思いをこめて折る「千羽鶴」
その千羽鶴は、どうして生まれたのか。
今日は、その起源を探ります。

日本書紀によると、日本へ紙の作り方が伝わったのが、610年。
当然、文字を書き記すために使われる事が主でした。
しかし、神様へのお供えを飾るために使われたり、平安時代には、贈り物を包む飾りとして使われたり、次第に多様な物へと変化していきます。
それは、「のし」や結婚式の飾り「雄蝶、雌蝶」のような「儀礼折り紙」として今も残っています。ただ、紙は高級品。「儀礼折り紙」は貴族のような裕福な人たちの文化でした。

しかし、紙が庶民の手に入りやすくなった江戸時代、折り紙文化はついに花開き
「遊戯折り紙」という、紙で物の形を折る事を楽しむ折り紙が生まれました。
「折り鶴」や「やっこ」「かぶと」などが、その頃に生まれたと言われています。

折り紙の専門書も発行されました。
1797年に出版された「秘伝千羽鶴折り方」は、世界で一番古い折り紙の本だと言われています。
しかしこの本に出てくる「千羽鶴」は、一枚の紙で、数羽の鶴を連続して作る「連鶴」のことをさしており「千羽の鶴」という意味ではありません。
それは、「千」という数字が、数よりも概念として捉えることが多い時代ゆえの、命名だったのでしょう。「千客万来」や「千差万別」といったことわざなどから、それが伺えます。

今よりも娯楽の少なかっただろう、古来の人びとにとって
そんな「折り紙」はとても楽しい文化だったに違いありません。
そして、その楽しみが、民間信仰や風習と結びつき、
願いを叶える「千羽鶴」というおまじないへと、変化を遂げたのではないでしょうか。

ましてや、長寿の象徴である「鶴」
それを、ただの折り紙の一つとして終わらせるとは、思えませんよね。

「千羽鶴」を折れば、長生き出来る、願いが叶うー

それは、古来の人々が生んで、私たちに伝えてくれた
美しい、祈りの文化

これからも、伝え残したい物です。


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